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2009年04月10日

Wide Sole Wedge製造工程

 


中野のClub-Tさんからワイドソールウエッジのご注文を頂きました。

今日は製造工程をライブ中継しながら作ってみようかと思います。丸一日掛かると思いますが、最後までお付き合い下さい。(全ての画像はクリックすると大きくなります。)

まず、材料ですが姫路の鍛造屋さんから鍛造を仕入れます。値段はだいたい1ヶ500円くらいです。
鍛造とはいえ、単なる350g前後の鉄なのでそのくらいの値段しかしません。

そして今日はその500円が5万円になるまでの工程を紹介するのですが、すでに機械加工までは終わってしまっています。この状態ですでに普通の量産品のウエッジ1本くらいの価格にはなっています。

鍛造された鉄のネックが削られているのが分かりますか?これは旋盤という機械でミーリングした痕です。機械で真円を出して、センターにシャフト穴を開けます。これは鍛造屋さんに頼んでもやってくれますが数百円です。

そしてソールに叩いた痕がありますが、これはネック調整をした痕です。真っ赤に熱しておいてハンマーでひっぱたいてネック調整をします。そしてネックに金色の傷がついていると思いますが、これもネック調整した痕です。これはベンディングバーで機械加工の前に再度調整した傷です。

つまり、すでにこの時点で2回のネック調整がされいます。完成後にもう一度ネック調整しますが、はっきりいって完成してからのネック調整はかっこづけでしかありません。削る前に調整して、そのロフト通りに飛ぶように研磨しなければ何の意味もありません。

そしてバックフェースのミーリング、フェースのミーリング、スコアラインの彫刻がしてあります。これらのミーリングも研磨の直前でないと精度は出ません。どうゆう順番で行ったのかというのは消費者には見えませんが実は順番次第で効果は半減してしまいます。

これから研磨しますが、フェースの外周とソールネックの付け根以外は全て機械切削されていますので、削る部分は以外と少ないです。

ちなみに現状のヘッドウェイトは319gで、AwもSwもこの状態では当然同じ重さです。


そして研磨するとこんな感じになります。

基本的に大まかな形状はこの段階で形成され、ある意味この段階で性能が決まると言ってもいいと思います。

研磨ベルトの目は80番です。

通常、みなさんが使っているゴルフクラブというのはこの状態で研磨は終わりです。あとはバレル研磨といって、洗濯機に研磨石と一緒に入れて数時間回転させ、艶が出てきたらメッキして完成です。

ゴールドファクトリーのアイアンも工程は多少違いますが、大体そんな感じで作られています。

それが1本2万円前後のゴルフクラブです。そしてそれ以下の値段で販売されているものというのは、この研磨の工程をゴルフをプレーしたことのない素人やパートの女性がしているものになります。

鍛造アイアンの場合、必ず研磨という工程が入ります。では誰が研磨したのか?誰が研磨したの分からないようなものを本当に信じられるのかという部分を今一度考えて頂ければと思います。

現状のヘッドウェイトはAwが309g、SWが310gになっています。

次の工程ですが、分かりやすく研磨をしないでおきました。右上の画像のネックの付け根部分の研磨です。この部分の研磨技術がクラブでもっとも重要なネックの形状とフェースの水平精度を確定します。

ここからは同じ部分の研磨が続きます。
まず、ペーパーの目は60番ですが、フェース面を傷つけないように、研磨機を大きいものから小さいものへと変更して3段階で切削します。

左上と右上は同じ60番ですが、研磨機が変わるので研磨の向きが変わっています。

 

左上も60番ですが、更に小さい研磨機で形状を作ります。

ここからは同じ作業をペーパー目を細かくしながら繰り返します。
右上は100番です。
 
 

左上が180番、右上が240番です。

 

左上が320番、右上が400番です。

左上が600番です。

そしてここがポイントなのですが、ここで研磨機を大き目のものに変えて、研磨目を通常の方向に戻しまます。研磨目を元に戻したのが右上です。

最近はブログで研磨している様子を公開している研磨職人の方がいらっしゃいます。
私が見た限りでは全ての方が、折角マシンミルドしたフェース面にペーパーがあたって、傷を付けてしまっています。

私は小さい機械で時間を掛けて研磨することによって、フェース面には一切傷つけずにネックの研磨をします。この仕上げが決定的なスピン量の違いに繋がります。

研磨箇所はネックとフェースの繋がり目だけでなく、ショルダーも同時に削っていますのでご確認下さい。

この状態でヘッドウェイトは305gと307gです。


ネックが出来上がったら、リーディングエッジを削って仕上げます。そして全体を60番で研磨したのが左上の画像です。

ネックが完全に出来上がってからリーディングエッジを最後に仕上げるので、顔の形が意図した通りの綺麗な形に仕上がりますが、量産品はそうゆうことができないのでおかしな形をしたものが混ざっています。

そして右上が100番で研磨したもの。

左上が180番で研磨したもの。

右上が240番で研磨したものなのですが、ここで研磨目を変えています。
こうすることでよりネックが真円になり、まっすぐ綺麗に仕上がります。

写真を撮りながらの作業のせいか、ここで研磨漏れが発生、一工程戻って180番からやり直していますが、画像は撮っていません。

面倒な作業ですが、研磨ミスがあると次の工程で必ず見つかります。そのため、意図した形に必ずなるのがバレルを使わないフルハンドメイドの良さです。

左上が320番での研磨です。日が暮れてきてしまいました。

右上が400番での研磨です。ここで軍手チェンジですね。破けました。
1個2000円~3000円で安価な量産品を研磨する職人は軍手が多少破けても我慢して使うのですが、私が削るのは5万円のウエッジなので、ヘッドを1つ削るのに軍手も1セット使うことができます。

左上が600番、右上が1000番です。

ここでバックフェースも一緒に磨いて艶を出しています。
バックフェースの段々がついている部分はネックを削る際に小さな研磨機ですでに磨き終わっています。

更にコンパウンドで磨き上げて完成。この状態でヘッドウェイトは300gです。
トップブレードがネックに溶け込むようなデザインは全工程手研磨ならではです。

という感じで、研磨だけならば1セット削るのに1日あれば削れますが、実際には複数の作業を同時進行でおこないますし、銀行行ったり、営業行ったりという業務を経営者はこなさないといけないので、数日掛けてこの工程を行います。

更に、研磨をする前に機械加工が丸1日、研磨後に彫刻と組立が丸1日くらい掛かります。

以前、彫刻技術が無かったときは刻印をひっぱだいていましたが、折角の精度が台無しです。
刻印は200トンくらいの力が掛かるので、かなりひん曲がってしまいます。

今は彫刻技術があるので、全て機械彫刻しますので、この研磨のクオリティーをそのまま仕上げることができますが、彫刻作業自体は1日近く掛かかってしまいます。


一応、私も商売でやっていますので、これはテクニックの極一部です。
すぐに真似されてしまうので、全部は流石に公開できませんが、今日紹介しただけで22工程です。


なかなかここまでのものというのは真似しようと思ってできるものではありませんが、みなさんが使われているものがちゃんとしたものかどうか見比べてみて貰うきっかけになれば幸いです。

こうゆうものを使えば必ず目が肥えます。商品ではなく、その”目”を買うと思って5万円を使って頂きたいなと思います。それが生きたお金の使い方なのではないかと思います。

不景気ですから、無駄金は使わないようにして下さい。

投稿者 M.Sasaya : 2009年04月10日 14:01